3月半ばのような暖かい12日、幼稚園は新春恒例のお餅つきを行った。
12月13日は「正月事始め」で煤払いや松迎えをする日。お歳暮を贈るのもこの日から、そして鏡餅もこの日から飾られるらしい。尤も最近では12月28日頃から飾るようだ。
この鏡餅や正月の雑煮用に餅を用意するわけだが、年の暮れの餅つきはだいたい12月30日に行われることが多いらしい。そうなると鏡餅を飾る日には間に合わないわけで、お鏡は専門の店から購入するのだろう。確かに餅をお鏡にするにはかなりの技術がいる。「餅は餅屋」の諺どおりなのだ。そしてこのお鏡を割って食べるのが開けて1月11日、いわゆる「鏡開き」。
しかし幼稚園などは12月にはそれなりに行事が立て込むし何より冬休みもあり、年内に餅つきをするのが難しい。川崎の幼稚園でも四谷でも冬休み明けに行うのはそのためだ。
餅米を蒸かして杵でつくという一連のことをするためには、かなり大がかりな段取りが必要だし、結構な人出がいる。四谷では4升つまり蒸籠4つで臼を4回働かせるのだが、それでも園児のお父さんたち5人、近所のお年寄り3人の男手に、バックヤードで餅を丸める父母の会役員のお母さんたちが6人、そして通常の幼稚園の大人10人が朝からワイワイやるのだ。登園してくる子どもたちも送ってくるお家の人も、なんとなくウキウキな気分になろうというもの。
「キリスト教の幼稚園なのに餅をつくのか」というご意見もあろうが、歳神様をお迎えするかどうかはともかく、子どもたちには楽しく大人たちには懐かしいこと、やらない手はない。どこかで手筈を継承しなければ段取りも技術も消えてしまう。ノロウィルスが流行して町内会などでも餅つきはやらなくなったと聞く。
だからと言って手放すのは惜しい。道具も十分揃っているし。もちろん細心の注意を払って。それで良いのではないか。
2024
14Jan